一番の教本はプロの演奏
私がジャズを本格的に勉強し始めた80年代中頃ってまだインターネットなんてありませんでした。
しかし、時代は変わって今ではネットの動画サイトでプロの演奏だけでなく、レッスン動画なども無料で見ることができるようになり、勉強するのにとても便利な時代になりました。
ただ、それって良い面だけでなく、問題もあります。
今はレッスン動画を見て勉強されている方も少なからずいらっしゃるかと思いますが、動画サイトにアップされているレッスン動画って玉石混交で、特に日本人の場合、中には素人さんが作ったような動画も結構あるんですよね^^;。
アップするのは自由なんですが、ジャズをこれから始めようという初心者の方には判断がつかないので、そういう素人さんが作ったような動画を見てその内容が正しいと思ってしまったりマネしている人を時々見かけますし、中には、初心者レベルの人がアップしている動画の演奏や、ジャズピアノ教室の発表会の動画の演奏を見てマネしている人もいらっしゃって、参考にするならもっと見るものを選んでほしいなって思ってしまいます^^; 。
元が初心者レベルのものをマネしても、それ以上にはなれないですし、そもそもノリが全然違います。最近になって、今はそういう問題があるのか〜と気づかされました。
昔はインターネットなんて無くて、参考にするのがプロの演奏(レコード、CD)しかなかったのが逆に良かったのかもしれません。
初心者だからいきなりプロの演奏を聴いても分からない、自分にはそういう初心者向きの動画や同じくらいのレベルの人の演奏を参考にするのが合っていると思うのかもしませんが、初心者だからこそプロの良い演奏をいっぱい聴いてほしいなと私は思うのです。
プロの演奏をほとんど聴かずにそういう初心者向きレッスン動画や教則本だけを見て最初から、ジャズのアドリブってコードトーンを弾けばいいんだなとか、教則本に載っているフレーズを弾けばいいんだなとか、そういう風には思ってほしくはないのです。(つまり、順番が逆なんですよね^^; 。)
もちろん、最初からいきなりキース・ジャレットやブラッド・メルドーなどを聴いても何をやっているのか分からないかもしれませんが、レッド・ガーランドやウィントン・ケリー等は初心者でも比較的わかりやすいと思いますし、実際自分も昔ジャズを勉強し始めた頃よくコピーしました。もう60年くらい前の演奏ですが、今改めて聴いても本当に素晴らしい演奏で、まだまだマネしたいなと思うところがいっぱいあります。(もちろん、好きなミュージシャンがいらっしゃれば、その人の演奏を聴くのが良いです!)
あのグルーブ感やフレーズの歌い方は、日本人が作った初心者向きの動画ではなく、やはり本場のプロの演奏を聴かないとわからないと思います。歌心なんて教則本には載っていませんし、言葉ではなかなか説明できません。実際のプロの演奏こそが一番の教本だと思います。
前にも書きましたが、ジャズ(に限らず音楽)はまず自分で聴いてみて、かっこいい! 美しい! マネしたい!という気持ちになること、感じることが習得するための原点だと思っています。
なので、とにかくまず最初は(できるだけ本場の)プロミュージシャンの演奏を、聴いて、聴いて、聴きまくって、かっこいいな!素晴らしいな!と自然に感じて、心を動かされていただきたいです。そして、参考にするなら、そういう演奏を参考にしてマネするようにしましょう。